作者/セレスフィア



天気の良いある日、話せる島(通称TIと呼ばれる町)の宿の一室で、☆ATMOSPHERE☆血盟所属の数人の男女達が話し合いに熱を上げていた。






「・・・でね、もうすぐ血盟創立一周年記念でしょ!」







カルリラは瞳を輝かせながら、落ち着き無く、ピンク色のスカートをなびかせながら部屋の中をちょこちょこと動き回っている。







「でもさ、もう時間無いよ?あと一週間で準備出来るの?」





部屋の中に設備されていたワインを口に運びながら、言葉とは裏腹に落ち着いた様子のスタパラが動き回るカルリラを視線だけで追いかけた。






「姫にはこの事伝えて無いんでしょ?」




テーブルの椅子にもたれながら、はるしおんが意味深な笑みを口元に浮かべる。






「姫に教えたら面白く無いですしね〜♪」




はるしおんの向かい側に腰掛けて本を読んでいたラーシェスは、はるしおんの言葉の意味を察したのか、

これまた楽しそうに意味深な笑みを口元に浮かべた。








「・・・てか、俺はこんなのやらねぇ・・・っ!?」





「だからね!!姫を驚かせる為には皆に協力してもらう必要があるの!!!」






何か言いかけた伏一貴(ふせかずき)の言葉を容赦なく遮ると、カルリラは宿に集まっている一同に向かって勢い良く叫んだ。









そして、目の前のテーブルに積み重ねられた数冊の本の中から1冊を取り上げ、ペラペラとページを捲る。




お目当てのページを開いて手を止め、カルリラはにやりと笑いながら一同へ向けて顔を上げた。






「私たちに残された時間は残り一週間、皆・・・自分の役割分かってるよね?」





「だから俺はこんなのやらねぇって言って・・・・ぐふっ!?」




再度、何かを言いかけた伏一貴の言葉は、カルリラのクリティカルヒット(腹に)によってまたも遮られた(南無・・・/汗)





『もちろんばっちりだよ、リラ♪』






横で腹を抱えて低くうなる伏一貴を放置しながら、カルリラは一同の頼もしい返事に満足した様に笑顔でガッツポーズ。








「よ〜し!本番まで特訓開始よーーー!!ビシバシ行くわよ〜〜〜〜!!」





『おぉーーーーーっ!!』








「だからっ!!人の話を聞けーーーおまえらーーーー!!!/怒」





伏一貴の必死な怒声も、周りの活気をおびた声の前では空しく部屋の中に散るだけだった・・・











ちょうどその頃、クラン員達の企みなど微塵も知らない血盟の君主であるセレスフィアは、クラン員でもあり、彼女の旦那でもあるルフィアンと共に、ハイネの森の中で果物集めに勤しんでいた。





「一周年記念のお祝いにね、交友クランの方々から沢山のお祝いのお手紙をもらったの。だから、そのお礼にジュースを作って送ろうかと思ってね♪」





「手作りのジュースなら、相手も喜んでくれるだろうな」




何とも楽しそうに果物を拾うセレスフィアを見ながら、ルフィアンは優しく微笑んだ。







モンスターへの攻撃をルフィアンに任せ、セレスフィアは弱ったオウルベアーから果物を奪い取り、せっせと袋に詰め込んでいく。





一方、セレスフィアの果物集めを手伝いに来ていたルフィアンは、モンスターからの反撃を受けながら、一生懸命に働いていた。



(セレスフィアはちゃっかり自分だけ変身してるから攻撃を受けません。全てルフィアン任せ/笑)←楽して果物を集める作戦(酷)













大量の果物を抱えて上機嫌のセレスフィアと、傷だらけでふらふらになったルフィアンがハイネの町に帰還する頃、




TIの町から少し離れた場所にあるパンドラが経営する道具屋の近くでは、アトモスのクラン員達が更に人数を増やして集まっていた。









「あの〜カルリラさん・・・ここのセリフはこれで良いでしょうか?」




つい先ほどインしたAlicetale(ありすてーる)は、早速カルリラから内密にWisで呼び出され特訓とやらに参加していた。







「しかし、リラもよく考えたな〜・・・とくにこの配役・・・姫の驚く顔が目に浮かぶっ!・・・あはははははw」




同じく呼び出されたばかりの霧流(きりゅう)は、思わず想像してしまったのか、耐え切らんとばかりにお腹を抱えて笑い出した。







一同はカルリラお手製の台本を片手に、どうやら劇の練習に励んでいるようだ。









だが、楽しそうなメンバーの中で伏一貴だけは不機嫌なオーラを全身に纏いながら、本日2箱目の煙草をふかしていた。





あまり吸いすぎると、彼の嫁であるAlicetaleに怒られるのだが、かなり機嫌が悪いのか、それもお構いなしである。







そんな伏一貴の様子にAlicetaleが眉をしかめ、傍に居たカルリラにこそこそと耳打ちをする。




(あの・・・カルリラさん・・・何故伏さんはすごく機嫌悪いのでしょうか?/汗)



(あぁ、自分の役が気に入らないみたいね〜まぁ、大丈夫、文句は言わせないわ・・・ふふふ)



(・・・恐いです〜カルリラさん〜/滝汗)



小声で話す二人の視線の先には、終始仏頂面の伏一貴の姿。






(ふむ・・・なんとかやる気にさせないとマズイわね・・・)





カルリラは暫く無言で何かを考えていたようだったが、ふと思いついたようにAlicetaleに向けてにやりと笑うと、早足で伏一貴へと近づく。
近づいてきたカルリラに、明らかに不機嫌な顔を向けた伏一貴だったが、





「伏〜〜〜〜・・・/ぼそぼそ」




「なにぃっ!?そんなの俺は聞いてないぞ!!・・・・ちっ、俺以外の奴にやらせるのも嫌だしな・・・しかたねぇ・・・」





カルリラが何やら小声で耳打ちすると、さっきまでの態度はどこえやら、伏一貴はしぶしぶと特訓に参加する事になった。









伏一貴のがっくりとうなだれた後ろ姿に軽く手を振りながらカルリラが戻ると、Alicetaleが不思議そうに首を傾げた。






「カルリラさん・・・伏さんに何を言ったのですか?」



「ん?ちょっと伏にやる気を起こさせる為の内容変更をね・・・ふふふ・・・」






(どんな事を言ったのですか・・・カルリラさん・・・/汗)
















こうして、クラン員達の秘密の特訓は日々着々と進んでいき、ついに血盟創立一周年当日の朝を迎えた。





『血盟創立一周年おめでとうーーー!!』






一周年記念というおめでたい日という事もあって、☆ATMOSPHERE☆血盟が日頃お世話になっている交友クラン、知人の方々をお招きしての盛大なイベントが行われた。





各イベントも終わり、クラン員達だけでの2次会に突入し、各自まったりと過ごし始めた時、待ってましたとばかりにカルリラが勢い良くステージに飛び上がった。






「姫、一年間ご苦労様でした!日頃お世話になっている姫に、クラン員一同でプレゼントがあります!!」





突然の思わぬ出来事に唖然と立ち尽くすセレスフィアの前を、クラン員達が次々と立ち上がりステージに上っていく。

(時間が無くて劇に参加出来なかった一部のクラン員達は見学者として見守る事になっている)








大勢が見守る中、カルリラのディテクを合図に、この日の為に貸しきっていたTI宿のホールの中に盛大な音楽が鳴り響いた。









チャッ チャチャチャ  チャッ チャチャチャ  チャッ チャチャチャララ〜♪

   人生〜楽ありゃ 苦もあるさ〜♪ 涙の後には虹も出る〜♪





『ぶっ!?』





突如流れてきたなんとも聞き覚えのある音楽に、その場にいた人々は一気に脱力感を覚えた。セレスフィアなど、思わず椅子から転げ落ちそうになったぐらいだ。









「☆ATMOSPHERE☆創立一周年記念!クラン員達による水戸黄門劇の始まり始まり〜♪」





『み・・・水戸黄門!!』







リネージュとはまったく無関係な劇(そりゃそうだ)の始まりに目を白黒させている観客をよそに、カルリラはマイクを片手にしゃべりだした。










「ナレーターは私、アトモスのオレンジラブ娘、カルリラが担当します〜♪」














ホールの照明が少しだけ点され、舞台はある悪代官のお屋敷の中の一室から始まった。(急にここからですかw)







「お代官様・・・本日はとっておきの品をご用意させていただきました・・・」




悪代官役の伏一貴が無言で笑みを浮かべるのを確認しながら、越後屋役のてぃっしが立ち上がり、一人の町娘を連れてきた。






「今日はお代官様に楽しんでいただこうと思いまして・・・」





「ほぉ・・・なんとも美しい娘ではないか、越後屋、そちも悪よのぉ〜・・・くっくっく」
(なんで俺がこんなセリフ言わないといけねーんだよ・・・/涙)





「いえいえ・・・お代官様には適いません・・・ほほほ」(ほら、ちゃんと悪どい笑みを浮かべなさいよ!真面目にやれ伏w)





町娘役のAlicetaleが怯えながら震える横で、二人は意味深な笑みを浮かべて笑いあっている。







「では、私はこれで・・・存分にお楽しみ下さい」(相手はアリスだからいいでしょw)





(伏一貴が妥協しなければいけなかったカルリラの作戦内容とは・・・このシーンにあったらしい/苦笑)











「普段から税率を上げたりして町民を苦しめている悪代官!その悪代官の手下ともいえる定番の越後屋が本日連れてきたのは美しい町娘だった!果たして町娘の運命はいかに!!あのお約束のシーンはあるのか!?」








カルリラの白熱したナレーションの後、悪代官に引き連れられた町娘はお約束通り布団の上に押し倒された。










「きゃああああああああああ!!お・・・お助けください!どうかご堪忍を!!!」




必死で抵抗する町娘だったが、なぜか顔の赤い悪代官の力にはとうてい適うわけも無く・・・







「誰も助けになど来ぬ、観念せい!」(すまん・・・アリス・・・/滝汗)




「あ〜〜〜〜〜れ〜〜〜〜!!」
(くるくる〜と・・・伏さん、顔引きつってますよ・・・/苦笑)









あわや美しい町娘が悪代官に襲われかけた時、突如天井の上からスリッパが飛んできて、悪代官の後頭部に命中した。



「何奴!!」
(てか、なんでスリッパだよ!)









お銀役のはるしおんが華麗に天井裏から登場すると、スリッパを投げられた悪代官は怒りながら大声を張り上げた。





お銀の登場に観客の声援にも熱があがる。






「お銀さん!やはり恒例のお風呂シーンはありですか!?」







観客側のラスフェルが目を輝かせながら叫んだが、瞬時に飛んできたスリッパが額に命中してそのまま再起不能となった。(恐)







「残念ですが〜お風呂シーンなんてありませんよ〜お銀さんのトルネードをくらいたくなかったら静かにしましょ〜♪」




ナレーターのカルリラの言葉に数人の男性観客はガックリと肩を落とした。













「いいところをお邪魔して悪いけど、その娘さんは返してもらうわよ」






杖を構えたお銀が(なんで杖という突っ込みは無しですw)町娘を庇いながら悪代官の前に立ちはだかると、。怒りと恥ずかしさに顔を真っ赤にした悪代官が大声で怒鳴り散らした。




「曲者だーーであえであえ!!」






声を聞きつけた(?)イエティ×3、KBB×2、BK×2の従者達がわらわらと集まってきた。




実は事前にWIZ達がテイムしたモンスとサモン達である。(本来は宿にサモンやモンスははいれませんがフィクションですから・・・)








少し遅れて到着したスケさん役のスタパラとカクさん役のラーシェスが加わり、舞台は激しい交戦の場と化した。






スケさんカクさんが弓で戦う!(激しく間違いだけどエルフだしw)





お銀が魔法を連発!!(かなり間違ってる・・・けど・・)






従者役のモンスター達が倒れた後、ステージの影から黄門様役の霧流が杖を付きながら現れた。いよいよクライマックスである。










「スケさん、カクさん、もういいでしょう」(俺じいさん役かよ・・・とほほ/涙)






「しずまれーー!」(俺は満足〜♪)



スケさんが叫ぶ。





「しずまれー!」(もうモンスター死んでて静かだけど)



続けてカクさんが叫ぶ。





「「このエンブレムが目に入らぬかー!」」








カクさんが懐から、印籠・・・もとい、☆ATMOSPHERE☆血盟の赤に白い十字架で飾られたエンブレムを取り出して高々と掲げた。








「ちょっとまったーーーー!!なんでエンブレムだ・・・・ぐはっ!!」




今まで黙って見ていたルフィアンが抗議の声を上げたが、








「はいそこ、突っ込みはしないで静かに見てましょうね〜〜♪」




ナレーターから飛んできたオレンジが腹にヒットして無理やり黙らされた(酷)










「こちらにおわすお方をどなたと心得る!姫をも黙らせる程のアトモスの裏の支配者ぞ!」(たしかに姫が頭上がらない人だよな・・・/汗)





「頭が高い!!控えおろーー!!」(霧さんには逆らわない方がいいですね・・・/汗)





掲げられたエンブレムの前に、悪代官は力なくその場にひれ伏すのだった。









「ふぉふぉふぉ!これにて一軒落着!」(あ・・・これは遠山の金さんのセリフか。まあいいか)





「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」(激しくセリフ違ってますよ・・・霧さん/滝汗 Byスタパラ&ラーシェス)












「今回も事件を華麗に解決した黄門様ご一行!この世に許せない悪があるかぎり、黄門様ご一行の旅は終わらないのでした。おしまい♪」







クラン員達の水戸黄門劇に盛大な歓声が上がる中、この劇をプレゼントされたセレスフィアが難しい顔をしていたのは言うまでも無い。















「ねぇルフィ・・・アトモスが
ネタクランだと言われるのはこういうとこにあるのかしら・・・」





「フィア・・・それは禁句だ・・・」



















後日、カルリラとセレスフィアがTIの町で立ち話をしていた。









「姫〜皆からのプレゼントどうだった〜?/どきどき」




「リラ・・・気持ちは嬉しいけどもひとつ、不満なとこがあるわ」




セレスフィアの喜ぶ姿を想像していたカルリラは予想に反した答えにがっくりと肩を落とす。




「え〜〜〜みんな頑張ったのに〜〜〜/しょんぼり」






「・・・・・・・・八兵はどうしたの?」






「は?」







「うっかり八兵よ!私は水戸黄門の中で彼が好きなの〜〜!!!」






カルリラが唖然と立ちすくむ中。セレスフィアは悔しそうに拳を握り締めた。









「あー・・・本当は八兵もいたんだよ〜・・・だけどね〜・・・」








セレスフィアが期待していたうっかり八兵役のJanusu(ヤヌス)は、一周年記念当日にこれまたうっかり寝坊したので来なかったなどとカルリラは言えなかったらしい。







こうして、アトモスの一周年記念は騒がしくも平和に終わっていったのだった。


                                      END


<詳細>水戸黄門劇配役

ナレーター:カルリラ(オレンジラブエルフ)

悪代官:伏一貴(ヘビースモーカーDE)  越後屋:てぃっし(セクシーサキュンWIZ)

町娘:Alicetale(OE運最強WIZ)  お銀:はるしおん(最強ママWIZ)

スケさん:スタパラ(おちゃめエルフ)  カクさん:ラーシェス(おしゃべり大好きエルフ)

黄門様:霧流(姫の保護者WIZ)  八兵:Janusu(伏のライバルDE)←出番無かったですTT

その他紹介

セレスフィア(☆ATMOSPHERE☆血盟君主) ルフィアン(姫の旦那ナイト) ラスフェル(連合王子)


ここまでお付き合い下さりありがとうございました!!


いやはや、前回の小説、Endless 〜永久に〜がとてもシリアスな話だっただけに、今回の小説は・・・(ーー;)

実はこのネタをはじめ提供してくださったのは、リネ旦那様のルフィアンでしたw

何気に小説の話をしていて、クラン員達が色々な劇をするのも面白いかもという事になり、早速書いてみたものの・・・

なんだかドタバタギャグコメディみたいになってしまいました・・・_l ̄l○lll

アトモス劇場・・・シリーズ1ということは、この話はシリーズ化するつもりなのですw

他にシンデレラとかロミオ&ジュリエットとか・・・・(何か企んでるのは見え見え/にやり)

本当はもっと早くに出来上がっていたのですが、現在左手を負傷してまして、更新が遅くなってしまいました><

応援と、小説を待っていてくださった方々には心から感謝しています(*- -)(*_ _)ペコリ


小説の感想やリクエストを下さると今後の励みになります!前回感想を頂いた方々、本当にありがとうございました(*^^*ゞ

                                                     2004年10月29日  セレスフィア