第4章 前夜


「魔物だと?」




「ならば久々にやれるな」





「私も長年の武者修行で培った業を見せるときです!」




「おいおい、油断してると痛い目にあうぜ」






アトモスにあてられた部屋では久々の魔物との戦闘にいきまく面々が騒いでいた。







しかし、一切喋らない者たちもいた。








一人は伏一貴。





無くしたものは
『友』




彼には頭が上がらなかった。



だけど、彼と一緒にいると本当の自分を出すことができた。



「ネタDE」と呼ばれていた過去はもう遠い昔になった。



あの時は毎日のようにいじられていたが、今となってはそれがかけがいのないものだと思っている。







だから・・・





「あいつが関わっているなら・・・」






伏一貴は机の中から何かを取り出すとポケットにしまった。










一人はカルリラ。






無くしたものは
『弟子』





最初は初心者のエルフに色々と教えてあげるだけだった。



だけど、彼はすぐに自分のことを「マスター」と呼び、慕っていった。



最初はどうでもいいと思っていたが、いなくなるとやはり寂しい。






「私は・・・・」





カルリラが服の袖を捲し上げると、そこには複雑な魔法式が描かれていた。











一人は洋パパ。






無くしたものは
『娘』






共にこの世界へと踏み入れた二人。



時々無茶なおねだりもするがそれはそれで可愛かった。






「ファー・・・」





娘の愛称を呟くと、独鈷の一本を握り締めた。











一人はラスフェル。





無くしたものは
『敵友』





一人の姫の為に争ったことは幾度となくあった・・・一度も勝った事とはなかったが、それはそれで良いとおもった。




今、自分の傍には望んだ相手がいる。



しかし、こんな形ではなかったはずだ。







「ばかやろう・・・」






ラスフェルは、腰に収めている銀色の輝く円柱形の物を握り締めた。










一人はセレスフィア。 






無くしたものは
『心』『絆』






狩りを中心とし、戦争に一切関与しないクランだったはずだった・・・



しかし、『あの日』を境に変わってしまった。



邪魔なものは排除し、自らのクランを高みへと上り詰めさせた。







「・・・・・・・・」






強く握られた剣は、持ち主の心のようにくすんでいた・・・・

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