第12章 撤退


まばゆい閃光が収まった後、広場に立っていたのは、

笑みを浮かべたカルリラと陣を完全に露出させた魔物だけだった。

「あら、まだ生きてるの?蟲だってもうちょっと潔いわ・・・よ!」

止めとばかりに、カルリラが腕を振り下ろす――――――



「ぐっ!」

だが、同時に壁に叩きつけられ、カルリラはぐったりと崩れ落ちた。


「カルリラ!?」

「リオン!カルリラの回復を、リンはカルリラの拘束をお願い。

洋パパは陣の破壊、核の回収。他の者は洋パパの援護に回って」



「「「「「「「「はい!」」」」」」」



セレスフィアの指示で、リンとリオンはカルリラの元へ走り、
他の者たちは陣へと向かった。



「洋パパ、独鈷は?」

「ぎりぎりある。以前と同じなら何とかなる」

「ま、上手くいけばだがな」

「ん?・・・・あれか?」

ラスフェルが指差した先にある陣は、何かに蛇が噛み付いている様な絵だった。

しかも、何に噛み付いているか分からない複雑な図柄。



「前のとは違うな。できるか?」

「やってみます・・・よ!」

「ん?・・・なぜ大剣を出す」


「カルマを媒介に、俺の血で効果を高める。

俺の流派は特殊な訓練をつんでいるからな。

寿命を得る代わりに、血に強い魔力を含むんだ。

こいつ自体にも増幅能力はあるしな・・・・はぁっ!」


洋パパがカルマを地面にさした途端、

周囲の独鈷と共鳴して青白い光を放ち、幾何学模様の陣を描いた。


「詠唱破棄!『封縛吸魔』!」


描いた陣が一層の輝きを放ち、敵の動きを封じて魔力を吸収していく。


「はっ!」


さらに、洋パパは印を組み替え、敵の陣を破壊しようとするが、


バチッ!


以前の様に硝子の砕けるような音は鳴らず、弾かれる音が響いた。


「なに・・・・うわっ!」


洋パパが後ろに飛び退いた瞬間、地面から突き出る無数の土塊で出来た槍。

下級の土魔法『スタラック』のようだが、
規模も威力もそれとは比にならない程に強大なものだ。


「何だこれ・・・ぐおっ!」

「とにかく避けるしかないっ」

「近づけない・・・どうすれば・・・!」

「危ねぇリン!・・・・ぐはっ!」

「レッドビー!」

カルリラに手を伸ばそうとしていたリン目掛けて、土塊の槍が襲い掛かった。

リンに覆い被さるようにして瞬時に庇ったレッドビーだったが、
わき腹に鈍い痛みを感じる。



「何・・・・腹に少し穴が・・・開いただけだ。
ぐっ・・・はぁ、早く俺の近くに・・・『マス・・・・テレポート』!」

苦痛に顔を歪めながら、レッドビーが詠唱する。


その場に居た全員が光に包まれ、風を切る音と共に姿が掻き消えた。

後に残ったのは・・・見るも無残に崩れた遺産と、
無数に地面から突き出た土塊の槍だけだった。

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