――――――!!!!!
声なき咆哮を上げ、それは湖の上にいた。
「これは・・・・」
スタパラが苦笑する。
なぜならそれは、見上げても頂点が見えない程の高さがあるからだ。
「ぱっと見、眼がないんだが・・・・」
「おそらく魔力を見る器官があるのだろう」
「さっさと終わらせるぞ」
「・・・・どうやら相手は我々に気付いたようだな」
皆が素早く上を見上げると、数本の太い触手が自分たちに向かってきていた。
各自が瞬時に飛び、攻撃を避ける。
地面の悲鳴にも似た轟音が響いた後、自分たちのいた地面が深く穿たれていた。
「・・・指示を出す。洋パパ、術の準備。その他は遊撃及び洋パパの護衛。どれくらいでできる?」
「五分もあれば陣を張れる。それまで頼む」
「わかった。・・・・我々を楽園へ導ける箱舟は 哀れなる魂を大地から解き放つ
救いを求める貴女にArkを与えよう・・・・それは月光を受けて銀色に煌いた・・・
『Ark 崩壊』!!」
セレスフィアの抜刀と同時に抜き出た銀色の閃光は、触手をごっそりと切り落とした。
「さぁて・・・・遊ぶとするか・・・」
伏一貴は、その一言と共に跳躍して触手に足を乗せ・・・・様とした。
「!!!」
触手に乗せた足が埋もれ、動きを封じられる。
防ぐには強すぎる一撃が伏一貴に迫ると同時に、
ドォン!!
足元に刺さった矢が、爆発して触手の戒めが解かれる。
伏一貴は体の前で腕を交差させ触手を防ぎ、触手の勢いを利用してそのまま地面に降りた。
「まったく・・・自分が遊ばれてどうする」
カルリラの手には爆薬を仕込んだ矢が握られていた。
「礼は言わないぞ」
「別にいいよ」
軽く言葉を交わすと二人は戦線に戻った。
「・・・・・・逮夜 斎灯たき祭文読む鳥・・・・・愛しい背中やっとツカマエタ・・・赤く桜咲く風に舞う螺旋の糸もつれ合い帰路を無くした・・・・・」
洋パパはぶつぶつと呪文を読み上げる。
読み上げることに、衛星のように周りを回る数十の独鈷が神々しさをかもし出している。
その横ではラスフェルが、洋パパを守りながら迫り来る触手を淡々と斬っていく。
「まだか?いい加減疲れたんだが・・・」
「箱庭を騙る檻の中で 禁断の海馬(きかん)に手を加えて驕れる無能な神にでも 成った心算(つもり)なの?・・・・・」
洋パパの周りを回っていた独鈷が瞬時に飛散し、触手の周りの地面に突き刺さった。
さらに独鈷が光を放ち、それは光の線を繋ぎながら巨大な陣となる。
洋パパが手で印を組むと、体からすさまじい魔力が放たれた。
「! 離れろ!」
セレスフィアの緊迫した一言に、皆が一斉に距離を取った。
「兆しは八逆・・・・・喰らえ!『封縛吸魔』!!」
激しい衝撃と共に、触手からは急速に魔力が減っていく。
「-―――――!!!!!」
敵は声なき咆哮を上げ、身悶えようとするが一切動けない。
「・・・・・あれは・・・?」
ラスフェスが指差した先には巨大な亀に数匹の蛇が喰らいついている絵があった。
「あれか・・・・・!!!」
洋パパが印を変えて力を込める。
シャーーーン!!!
硝子が砕けるような音が響き、触手は音も無く消えた。
「終わったか・・・さて・・・核は一体どんな物かな」
洋パパは湖上の氷を伝い、湖の中心に渡る。
「・・・・・これは・・・!!」
湖から引き上げたのは、水色の髪の少女だった。
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