※いつもどおりなんで以下略
十二月二十四日、今日はクリスマスイブ。
恋人たちが愛を誓い合う日に、アトモスのアジトで寝っ転がっている男がいた。
「・・・・・・・・・」
彼女もいなけりゃ妻もいない。
ガーヴィンは無言でテレビを見ていた。
他の皆はイベントやデートで出払っており、予定のないガーヴィンは一人寂しくお留守番だ。
別に興味のない番組をやっているテレビ画面をぼんやりと見つめていると、あくびが出てきた。
書きかけの小説も、気が乗らなくて筆を止めている。
食欲もないので、食べかけのエルヴンワッフルがコタツの上に放置されている。
「・・・・・・・・明日のプレゼントに期待して、もう寝るか・・・」
重たい体を引きずるように二階へと上り、鍵を開けて部屋へと入った。
部屋といっても男子と女子に別れているだけで、中には五〜六台のベッドが並んでいた。
一階にも寝室があり、それぞれベッドが割り振られているのだ。
ガーヴィンはベッドに倒れるように飛び込んだ・・・・はずだったが、ベッドとベッドの間のスペースに思い切り顔をぶつけてしまった。
「〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
痛みで声も出ない。
痛みを堪えながらも、そのままの体勢で自分のベッドを探ると、いちご味の飴が出てきた。
それを口の中に含み、しばらくしてから、
(他のみんなも中になにか入れてるのかな?)
そう思うと、いけない事とは分かりつつも興味は沸いてくるもので・・・
ついつい、隣の洋パパのベッドの下を覗き込んだ。
洋パパのベッドの中には数冊の本と、家計簿が入っていた。
本の題名は
「アデナはこうして稼げ!」 「一週間で1Mも夢じゃない!」 とかだ。
家計簿は・・・・見るに耐えなかった。
給料のほとんどは、娘のバルファーレに貢いで・・・もとい使っている。
「まったく・・・親ばかも大概にしといたほうがいいよな〜・・・自分の為に」
何だか居た堪れない気持ちになりながら、ばれないように元の位置に戻した。
(こういう他人の秘密事って一度見だしたら止まらないよな〜・・・皆ごめん)
心の中では謝りながらも次は、姫ラブツインズの兄、ラスフェルのベッドを探る。
ラスフェルのベッドの中には数冊のアルバムが入っており、ラベルには沢山のハートが飾られていた。
「フィアちゃんのベストショット集?」
中を覗いてみると、それは姫ことセレスフィアの写真だらけだった。
なんとなく見ていると、(これ、絶対隠し撮りだろ!)というような物まであったが、ツッコミを入れるくらいに留めておいた。
ページを捲っていると、一枚の紙がはさんであった。
どうやら詩のようだ。
中身は姫にささげるのであろう甘ったるい物だった。
小説の執筆もしているガーヴィンは手直しをしたかったが、さすがにばれるので止めておいた。
「今度レクチャーでもしてやるかな」
なお、弟ラスフェスのベットの中も似たような物が隠してあった。
そして、セレスフィアの旦那のルフィアンのベッドの下には・・・・・大量のノート。
(一体何のノートだ?)
そう思いながら開いてみると、中にはびっしりと名前が書き込んであった。
ガーヴィンは一瞬(あのノートか!?)と思い、あたりに死神が見えないかと見渡した。
しかし、死神は見えないのでひとまずほっとする。
このノートは一体・・・何か見たことある人の名前ばかりが目に付く。
ガーヴィンはしばらく考え込んだが、見当がつかないので放っておくことにした。
最後は伏一貴のベッドだ。
中には大量のタバコの箱が山積みされていた。
(こんなところに隠してあったのか・・・)
しかし、なんとなく不自然な積み方が気になった。
まるでなにかを隠しているような・・・
試しにタバコの箱を除けてみる・・・すると底に現れたのは隠し扉。
恐る恐る腰のエルヴンダガーで扉をこじ開け、その中を覗いてみると・・・・・・・・・・・・・
エロ本
が数冊入っていた。
あっけにとられたが、気恥ずかしさと自分では未知の世界の発見に思わず燃やしてしまおうと、左手でファイアーアローを発動させようとした。
しかし、このアジトは木造なので下手をすれば全焼してしまう。
外で燃やそうとも思ったが、クリスマスムードの街中は人でいっぱいだった。
結局座布団の下に置き、その上に乗っかって隠すことにした。
そのままリビングでぼんやりとしているガーヴィンの目に、クローゼットが飛び込んできた。
その中には以前、特売セールの時にギランで買い込んだ布地が大量にある。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ガーヴィンは何かを思いついたかの様に無言で立ち上がり、裁縫道具を取り出して裁縫を始めた。
ちくちくちくちく・・・・・・
Tシャツ、パーカー、ジャンパーと、いろいろ作っていく。
しかし、だんだんと制服や巫女服など、まともではない物も混じってきている。
ガーヴィンが夢中になって作っていると、
「・・・・・・・・何作っているんだ?」
突然背後から声をかけられた。
「服です。一応クリスマスプレゼント・・・かな?」
夢中になって針を動かしているので上の空で答える。
「しかし、あの妙な服は・・・?(汗)」
「パーティーとかで、ネタなんかにいいかなと・・・・・・あれ?」
聞きなれた声にガーヴィンが振り向くと、そこには
「ただいま」
伏一貴が立っていた。
「え!?あ、あ、あの、お、お帰り伏のアニキ!!」
「何を慌てているんだ?」
「あ、いや、別に・・・(滝汗)」
「まぁいい・・・それより、針には気をつけろよ」
「大丈夫です、針が怖くてエルフをやってられませんよ・・・いたぁ!」
言った傍から針を指に刺してしまい、思わず大声を上げた。
「ははっ。油断してるからそうなるんだ」
「あはは・・・・あ、そうだ!」
「どうした?」
「明日クリスマスですよね?だからちょっとしたドッキリ企画をやろうと思って」
暇つぶしでそんな事を考えていたのだ。
「ほう・・・」
「そこで、伏のアニキに頼みたいことがあって。ダークエルフ謹製の眠り薬がほしいんですよ」
「何故そんな物を・・・あれは製造禁止になって手に入らな・・・」
伏一貴が断りきる直前に、奥の手であるあの本を目の前に突き出した。
「な!・・・それは・・・」
明らかに動揺する伏一貴。
「言っておきますが、拒否権はありませんよ」
邪悪な笑みを浮かべるガーヴィン。
「この・・・返せ!」
伏一貴が取り戻そうとするが、失敗した。
「いいのですか?はむかえばこの本を皆に(女性達)見せますよ?そうだなぁ〜まず手始めに姫かな・・・どんな反応するかな〜」
「くっ・・・・分かった」
その一言が決定的だったのか、伏一貴は渋々了解した。
「だが、ここには無いからな。今から取りに行くが・・・(闇ルートだから値段高いんだがな・・ちっ!)」
「じゃあ、これと交換です。今返したら、私が損する可能性がありますから」
「・・・・・・・」
伏一貴は、何も言わずにさっさと出て行った。
「さてと。私も準備しますか」
そう言いながら笑みを浮かべ、台所に向かう。
暫くするとセレスフィアたちがぞろぞろと帰ってきた。
そしてガーヴィンが作った服を見つけると、
「ただいま〜ガーヴィン!あれ、この服は?」
と、姫が見慣れぬ服の数々に首を傾げている。
「ああ。暇だから作ってみました」
「だからって・・・・」
ラスフェスが姫の後ろから覗くように顔を出した。
「この服は無いだろう・・・(明らかにあっちの世界)」
と、ラスフェルも苦笑。
「なんですか?この服」
と、洋パパも困惑気味だ。
「でもさ、せっかくガーヴィンさんが作ったんだから着てみない?」
と、バルファーレ。
「あ〜、それいいかも!」
と、はしゃぐカルリラ。
「じゃあ私これ〜」
と、姫が早速服を選びにかかった。
「お、おい!カメラカメラ!」
このチャンスを逃すまいと、双子がダダダダダと、二階に駆け上がる音が聞こえる。
「まったく・・・おい!この服は後で焼却処分だからな!」
と、呆れた顔のルフィアン。
「ひどい!せっかく作ったのに!」
「まぁまぁ。いーじゃないの」
バルファーレがフォローを入れてくれた。
「あれ?これなんか見たことある服・・・」
と、カルリラも服を選んでいる。
『じゃあ、部屋で着替えてくるね〜』
女性達が着替えの為のそれぞれ自分の部屋に入っていった。
丁度その時、伏一貴が帰ってきた。
伏一貴は「何か手伝う事無いか?ガーヴィン」と言いながら台所に向かい、こっそりとガーヴィンに薬を渡した。
受け取った薬を隠しながら、服の下に入れていた本を伏一貴に返して何事もなかったかのように振舞う。
暫くすると・・・・
「お待たせ〜」
姫が部屋から出てきた。
『おお〜!』
と、双子が同時に歓声を上げる
カメラのシャッター音が何度も部屋の中に響いた。
「この服動きやすいね〜」
と、ノリノリでくるくる回るバルファーレ。
「でも、なんだか軍服っぽいよね」
と、カルリラ。
「じゃあ次はこれ〜」
皆がコスプレ大会で盛り上がっている中、ガーヴィンは、仕上げにかかっていた。
「さて、誰にしようか・・・ここは俺の作った服を燃やすといったルフィアンだな(にやり)」
そういうと、コップの一つに伏一貴から受け取った眠り薬を入れた。
「みなさ〜ん、体が温まるにんじんジュースですよ〜」
大きなお盆に人数分のコップを載せ、それを一人ひとりに手渡していった。
もちろん、ルフィアンだけは眠り薬入りだ。
「へぇ〜、なかなか美味しいね」
「悪くはないね」
と、味はなかなか好評だった。
暫くするとルフィアンが、
「あれ?なんだか眠くなってきたな。俺先に寝るな〜皆」
『おやすみ〜〜』
皆が手を振る中、ルフィアンはふらふらと二階の部屋に入っていった。
それを確かめた後、
「私も・・・・もう寝ますね」
「あら?ガーヴィンもなの。早いね〜おやすみ」
不思議そうな顔をするセレスフィアに手を振りながら二階へと上った。
ガーヴィンは部屋に入ると、自分のベッドの下から何かを取り出し、薬が効いているのかぐっすりと眠るルフィアンの傍へと寄り、
静かに笑った―――――――
翌日、ルフィアンが目を覚ますと辺りは真っ暗だった。
自分の姿もわからない。
「あれ?間違えてオペイクポーションでも飲んだか?」
手探りで扉を探りながら、何とか下へと降りた。
皆の姿を確認して挨拶をしようと手を上げると、何故か辺りがざわめいた。
「ル、ルフィ・・・・」
と、絶句するセレスフィア。
「なんだ?その格好は・・・」
と、ぽかーんと口を空けているラスフェス。
「え?周りが真っ暗で、自分の姿が―――」
そう言いながら、だんだんと視界が晴れてきた。
ルフィアンは自分の姿を見て絶句した。
ルフィアンの格好―――ネコミミ+メイド服+シッポ――――
間違えても男がする格好ではない。
「なっ!!こ、これは・・・・(唖然)」
困惑して立ち尽くすルフィアン。
「メリークリスマス!俺のプレゼントは気に入ってくれたかな?」
声の方を振り返ると、笑みを浮かべたガーヴィンが立っていた。
「お前がやったのか!?」
と、ルフィアンは顔を真っ赤にして、怒鳴った。
ガーヴィンはしてやったりな顔で、
「ええ。俺の作った服を燃やそうとした罰ですよ。あ、それ呪われてますから外せませんよ。ちなみに解呪スクロールはこ・こ」
左手に持った解呪スクロールをひらひらさせている。
「ガーヴィン!!それをよこせっ!」
ルフィアンは必死だが、ガーヴィンはあざ笑う様に、
「そうですね・・・欲しかったら・・・・奪い取ってみてください!」
そう言うと、ひらりと二階から一階に飛び降り、外に駆け出した。
「あっ、待ちやがれ!」
皆が唖然と見つめる中、ルフィアンもそのままの格好で追いかけた。
「待ちやがれ〜〜!」
「待ちやがりませ〜〜ん!」
二人は、街中を疾走した。
暫く街中を走り回り、そろそろ疲れたガーヴィンは、
「もう、そろそろいいかな」
スクロールをルフィアンに投げつけ、脱兎のごとく逃げた。
ルフィアンは、慌ててスクロールを拾うが、ふと冷静になりある事に気付いた。
そう、ルフィアンは街中を疾走して、その姿を他の人にも見られてしまったのだった。
その後、ルフィアンはクランの内外から「コスプレナイト」と呼ばれ、この一件はアデンの都市伝説になったとかならなかったとか・・・
終わり
後書き
ようやく中間が終わったーーーー!
でも英語と数学が絶望的・・・・
今回はなかなか時間がかかっちゃいましたよ。
てか終わり方が温泉旅行と一緒!
これはイラストにしたら面白そうだなぁ・・・(にやにや)
ガーヴィン
ガーヴィン、中間テストお疲れ様でした^^
今回は、少し編集に時間が掛かってしまい、遅くなって申し訳ありませんでした(´・ω・`)
いやはや、今回も面白い作品をありがとうございました!
ルフィと伏にリネの中で殺されないように、頑張って逃げ回って下さいね!(えw)(・∀・)b
ガーヴィンのご要望とあらば・・・書いてみましょう!コスプレルフィアンを!!
たぶん書きながら自己嫌悪に陥ると思いますがね・・・_l ̄l○
ちゃんと書けるかな・・・うぅ;;(←想像中)
出来上がったら初めにガーヴンに送りつけますので宜しく(゜д゜)b
2005年10月19日 セレスフィア