ピンポーン♪ アジトでのんびりしているアトモスメンバーたちの元に、一つの荷物が届いた。 「誰宛てー?」 ソファーでぐったりしながら、荷物の確認を求めるラスフェル。 「んと・・・ガーヴィン?」 荷物を受け取ったカルリラが答えた。 「ほぉ・・・おい、ガーヴィン!お前宛ての荷物が届いたぞ!」 上の部屋に居るガーヴィンを、伏一貴が呼ぶ。 「ふぇ?あい!ちょっと待って!」 ドガン!ベコン!ゴロゴロゴロ・・・ 何かを崩したり蹴っ飛ばしたり爆発させる音が聞こえた後、 ドビラが開くと同時に髪の毛が少しこげたエルフ、ガーヴィンが出てきた。 「何ですか?・・・ごふっ」 少し咳き込むと、のど飴を舐めつつ何事も無かったかの様に尋ねるガーヴィン。 「あ・・えーと・・貴方宛ての荷物ですよ」 と、比較的大き目の箱をラーウィが指差した。 「へぇ・・・なんかエロゲーでも頼んだかな?」 そう言いつつ、箱を開け始めるガーヴィン。 中には・・・ 「おお!赤POT!それにB−taleも!なんでこんなに・・・?」 箱の中の物に大喜びするガーヴィンだが、送り主の名前は「GM」と書いてあるだけだった。 「う〜ん・・・あ、なんかのキャンペーンで当たったんじゃない?ほら、この前そういってたし」 ガーヴィンが首を傾げる横で、バルファーレが思い出したように手を叩く。 「あー・・そんなのありましたねえ・・」 と、洋パパも納得して頷いた。 「私もすっかり忘れてましたよ。・・・ん?なんじゃこれ?」 ガーヴィンが箱の底を探っていると、なにやら奇妙な物を見つけたらしい。 そのまま箱の底が異次元への扉となり 「うわぁぁ〜吸い込まれる〜」 なんて事は無かったが、代わりに青くトゲトゲしい物が一個出てきた。 「それ・・・なに・・?」 セレスフィアが眉をしかめてガーヴィンから少し遠ざかる。 「さぁ・・・見た目からして果物だろうが・・・」 伏一貴はしげしげとその物体を眺めながら冷静に分析している。 「調べてみますね〜」 ラーウィは素早くパソコンに向かって調べ始めた。 「しっかし、これ・・・硬いね〜」 こんこんと軽く叩いてみるバルファーレ。 「美味いのかな・・・」 食べる気なのか、怖いもの知らずなガーヴィン。 「まぁ、何にしてもオレンジに適う物は無いけど〜♪」 オレンジ信仰者のカルリラにとって、他の果物など興味は無いらしい。 「・・・・あ、検索出ました」 PCで調べていたラーウィがどうやら正体を付きとめたらしい。 「で、何だったんだ?」 ラーウィの後ろから一緒にPC画面を覗き込むラスフェル。 「えーと・・・・ドリアン・・ですね・・・」 「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」 暫くの間、アジトの中は物音一つしない程凍りついた・・・ *ドリアンについての解説* ドリアンとは・・・・パンヤ科ドリアン属の常緑高木。 マレー半島、東インド諸島原産といわれ、果肉を食用とする。 肉質は生クリームに似て、かすかにデンプン質を感じ、甘味が強い。 独特の匂いがある。 しかし、味の良さから熱帯産果実の王様といわれ、生食のほかアイスクリームやジャムなどに用いる。 味はなかなかよく「肉っぽい」「クリーミー」という声もあるが何よりもの特徴は・・・ 「どうりで・・・・さっきから変な匂いがすると思った・・・」 鼻をつまみ、遠ざかるクラン員たち。 「何でこんな物が・・・」 と、嫌そうな顔のラスフェル。 「さぁ・・・中身のリストには書いて無かったですよ・・・」 ガーヴィンは困った顔でドリアンを片手に途方にくれていた。 「先人はこれをよく食べようと考えましたね・・・」 と、洋パパが苦笑しながらも後ずさりしていく。 「で・・・誰が食べる?」 ガーヴィンからかなり距離を置きながらも、疑問を口にするセレスフィア。 「そりゃ・・・ガーヴィンに届いたのだからガーヴィンでしょ」 ラーウィがあっさり言い捨てた。 「ひどいです・・・・それに私刃物持ってませんよ」 涙ぐむガーヴィン。 「あれ投擲の武器になりそうだな・・・伏使えば?」 と、ラスフェルが違う使い道を提案してみるが、 「断る」 伏一貴に即断られた。 「いっその事捨てたら?」 カルリラのもっともな意見。 「それはもったいないでしょ」 だが、これも洋パパの貧乏性によって却下された。 そのような議論を数時間程繰り返し、結局・・・・ 「はうう・・・・・・(滝汗)」 右手に斧を持ち、ドリアンの前に立つガーヴィンの姿。(ここぞという時のジャンケンに弱い) そして、一歩一歩確実のドリアンとの間合いを詰めるガーヴィン。 その姿は龍に立ち向かう勇者のような・・・というよりも、断頭台に自ら刃を取り付ける死刑囚・・・。 顔には、つ〜っと流れる脂汗・・・。 目は何時に無く真剣そのもの。 「ごくっ」と全員が生唾を飲込む音が響き、居間に張り詰めた空気が流れる。 ガーヴィンがドリアンの真正面に立ち、 「はあああああ!!!!」 いつもじゃ入れないような気合を入れ、斧を振り下ろした。 ザクッ! 「・・・・・・・」 ある人曰く、「たまねぎが腐った匂いの100倍臭い」と顔をしかめ、 ある人は、「肥溜めに口から突っ込んだみたいだ」と言い、 またある人は、「脇の下の匂いに靴下の匂いを混ぜて2000年ほど発酵させたような」 とか、「下水を流れてきたプリン」と評するドリアンの香り・・・・・・・・・・・・・・・・ というわけで・・・・ むわ〜〜〜〜〜〜〜〜ん たちまち凄まじい勢いで広がる怪しすぎる臭気、臭気、臭気! これぞ『死ぬがよい』と叫びやがる、世界最強の生物兵器! 脳内の警報機に次々とスイッチが入り、無数の赤い回転灯とサイレンが鳴り響きまくります! 「どわああああああ!!」 思わず大声を上げる洋パパ。 「やばいってこれ!てか、マジで死ぬ!」 と、のた打ち回るラーウィ。 「あはははははははははははは!」 なんだか壊れた伏一貴。 「玉ねぎがっ!靴下がっ!! 腐った匂いがぁぁぁ!!!」 と、右往左往するラスフェル。 「目がっ!目がぁぁぁぁぁ!!」 某悪役のような台詞を叫ぶバルファーレ。 「総員退避!」 いつになくリーダーシップを発揮するセレスフィア。 「コンディションレッド発令!コンディションレッド発令! パイロットは搭乗機にて待機してください!気密シャッター閉鎖します!」 カルリラが素早く赤いスイッチを押すと、窓や扉が閉じられ密封状態になった。 「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・」 慌てて台所へ避難した全員の顔には、無数の縦線が入り、どんよりとした空気が漂っていた。 「な、何があったんだ・・・・」 あまりの悪臭に記憶が吹っ飛んでいるラスフェル。 「なんか・・・記憶がないぞ・・・」 と、ラーウィも同じく記憶が吹っ飛んでいる様子。 「はは・・・あはは・・・」 未だに壊れている伏一貴。 「ルフィがいたような・・・まさかね・・」 あの世を垣間見たらしいセレスフィア。 「で・・・・ガーヴィンは?」 カルリラの一言に、全員の顔から血の気が引いた。 居間の換気扇を開け、気密シャッターを開き居間に入ると・・・・・・ ガーヴィンが切ったままの体勢で固まっていた。 「ガーヴィン・・・?」 バルファーレが恐る恐る声をかける。 バルファーレの呼びかけに、ガーヴィンは「ギギギ」と音を立てるような動作でぎこちなく振り向いた。 その目は光を無くし、口元にはうっすらと笑みまで浮かべている。 「何で逃げたのかな?・・・ねぇ・・・みんな・・・?」 どすの利いた声でブツブツ呟きながら、ゆっくりと斧を振りかざすガーヴィン。 「が、ガーヴィン!?」 慌てて振り下ろされた斧を防ぐカルリラ。 だが、ガーヴィンはそれを平然と払いのけ、片手で斧を振り下ろしてくる。 ドリアンの悪臭→脳が察知→命の危機→逃げよう →出口ない→息止めよう→限界→思いっきり吸う→ 脳内が素敵にクラスチェンジ☆ミ その結果・・・ 「あっはははははっははははははははははは」 クラン員めがけて斧をやったらめったら振り回すエルフが出来上がり。 「で、どうするよこれ!」 「とにかく正気に戻すぞ!」 全員でガーヴィンを取り押さえ(死亡数24回)キャンセレーションかけて(121回) トドメのファイナルバーン(昇天)で何とか元に戻す事に成功した。 「はぁ・・・はぁ・・やっと戻ったか。それにしても・・どうしようね、あれ・・・・」 元凶であり、いまだ悪臭を放ち続けるドリアンを指差すセレスフィア。 「あれ食ったら間違いなく死ねるぞ」 と、こちらもやっと正気に戻った伏一貴。 「なんか・・・ゾンビになれそうなウイルスが入ってそうだね」 バイオハザードですか?と一人突っ込みを入れるラーウィ。 「でも・・・誰が処理する?」 と、ボロボロになって正気に戻ったガーヴィン。 「俺は嫌だぞ!」 逃げるラスフェル。 「以下同文」 同じく逃げ出す洋パパ。 言い合いはまたまた続き、そして・・・・ 「・・・・・・また私ですか・・・・」 右手にはお店でアイスクリームをかき出すときに使う道具を持ち、 ガーヴィンがドリアンに向かっていった(ジャンケン弱すぎ) そしてドリアンの前に立つと、ドリアンをかき出し始めた。 「・・・・・・・・・・」 クラン員たちは固唾を呑んで見守る。 「・・・・・・・・・」 ガーヴィンはドリアンに顔を近づけそして・・・・ ガブッ・・・ よせばいいのに、口いっぱいにほおばった。 「☆$%&”$!’!!%&$”#”#†∀♭凵I!!!」 ガーヴィンの口からは、この世のモノとは思えない言葉が次々と紡がれ、 その微妙に震えている後姿からは、殆ど口内ジェノサイドと化している様子。 何とか震えを押さえると、暫くの間噛み砕いて飲み込んだようだった・・・ ♪〜♪〜 どこからともなくBGMが。 どうやら終わりは近いようです。 「後もう三口・・・いや。二口で逝けるな・・・」 誰かがそう呟いた。 ・・・・ぱく・・・ 「ガーヴィンやめろ!」 「お前は十分頑張った!これ以上頑張る理由は無いんだ!」 ・・ぱく・・・・ 三口を食べ終えたガーヴィンの顔には笑顔が浮かんでいた。 「ありがとう・・・・短い間でしたけど・・・楽しかった・・・」 バターン!! ガーヴィンは遺言を残して倒れてしまった。 ガーヴィンの口からはエクトプラズムがヒョロヒョロと出ています。 さらには、体の上に幽体離脱してしまってます。 おまけにルフィアンが迎えに来ています(ぇ) 「ガーヴィン!目を覚ませ!」 「ルフィ!ガーヴィンを連れて行かないで!」 みんなは鼻をつまみ、ガーヴィン(幽霊)の足首を掴んで何とか戻すと、 心臓マッサージ(やりすぎてあばらにヒビ)を施し、頬を何度も平手打ち(少し意識が戻ってきた)し、 メテオストライクとフリージングブリザードをかけて(再び昇天)何とか戻ってきた。 その後ドリアンは液体窒素でカチンコチンに凍らせて、カルリラのみかんの木の近くに埋めた。 (「みかんがドリアンくさくなったらどうするんですか!」と、カルリラが抗議をしたが、素敵に全員が無視をした) クラン員たちは、この記憶を一瞬でも早く忘れたくて、早々と就寝することにした。 翌日・・・・ 居間に下りてきたセレスフィアは、再びテーブルの上に異様な物体を見つけた。 ・・・・・いわずものがな、ドリアンです。 「さて、ガーヴィン・・・これはどういうことですかな? 五十字以内で簡潔に述べなさい」 「あ、あははは・・・・」 あの後、更に箱を調べてみると、二重底になっていることが分かり、 再びあのドリアンが中に入っていたのだ。 セレスフィアはおもむろに窓をバタン!!と開け放ち、左足を高く上げてスタンバイOK。 「こんなもん喰いモンじゃねぇ!!!!!」 と叫びながら、ドリアンを大気圏を突破するのではないかというくらいの速度で蹴り飛ばした。 ひゅ〜〜〜〜〜〜・・・・きらんっ☆ ドリアンはあっという間に星になった。 「あぁ、一応高級フルーツなのにっ!!!」 「あー・・・いくら高級でも、このアジトでドリアンを食べたい人が居るとは思えないのだが・・・・・・」 ラーウィさん、的確な突っ込み有難う。 「さて、ガーヴィン・・・? 覚悟はできてるわよね?」 一仕事終えたセレスフィアがガーヴィンの方を向き、笑顔で指をバキバキ鳴す。 「わ、わ、ひ、姫!ちょ、ちょっとまってっ!! 弁明の、弁明の機会は無いのっ!?」 「んなもんあるわけないでしょ? ん? ・・・・たっぷりおしおきさせてもらおうじゃないか・・・ふふふ・・・・ふふふふふ」 セレスフィアのドスの聞いた低い笑い声がアジトに響く。 目が笑ってない・・・これはまずいです、ガーヴィンピンチ。 「クラハンはどうするの!? 遅刻しちゃうよ?! ねぇ、姫、姫ってば!!」 「そんなん知るかーーーーーっ!!」 「もぎゃああああああ!!!!!!」 爽やかな月末の土曜日、 アジトではガーヴィンの悲鳴と断末魔がいつまでもいつまでも鳴り響いておりましたとさ。 「さ、さて、私達はクラハンに行くか」 「あ、ああ・・・・ガーヴィン・・・・すまん。フィアが一度ああなると、俺たちにはどうにもできないよな・・・・」 残りのクラン員たちは一斉に頷くと、ガーヴィンを残してさっさとクラハンに行ってしまった。 あんたら、意外と薄情ですね・・・・。 クラハン待ち合わせ場所、一足先にラスフェスと伏一貴が到着していた。 「結構早くに着ちまったな」 「そうですね。まだ誰も来ていませんし」 「皆が来るまで俺は少し休むぞ、誰か来たら教えてくれラスフェス」 「はい」 伏一貴が近くの岩に背を預けて寝そべっていると・・・ ひゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・ 「ふ、伏さん!避けて〜〜〜!!!!」 「はっ?」 ドガーーーン!!! 「なっ!?・・・がっ・・・・・・っ」 「伏さああああああああああああああああああん!!!!!!!!!?」 ラスフェスの悲鳴と共に、そのまま仰向けに卒倒した伏一貴の頭部からは血がどくどくと・・・。 そして、その傍らには凶器となったドリアンが真っ二つに割れて転がっていた。 「ぐあ・・・・・・何故・・・ドリアンが・・・ま・・・た・・・・がくっ!」 「伏さん!?伏さん!?しっかりしてください!!」 セレスフィアが蹴り飛ばしたドリアンが大気圏で重力を失い、 そのまま脅威のスピードで急降下してきた事など誰が予測するだろうか。 いや・・・誰も予測などできるはずもない。 その後、伏一貴は病院に運ばれて全治3ヶ月の重傷を負ったとか負わなかったとか・・・・・・・。 |